「美味しい、なんて思ったことないよ？」

本作の主人公。人喰いの怪物。
気がつくと空腹のまま公園にいた謎の青年。
人間の感情を忘我させ、その身体を喰らって生きる。
いつしか人を喰うほどに、自分に人の感情が芽生え始めることに気づく。

「嘘くさい笑顔ね。あたしと同じ」

人喰いの怪物のもとに訪れる謎の少女。
世を達観したような言動を放つが、世間知らずの裏返しにも似ている。
怪物の喰人行動を目撃して以来、私を殺してくれと接触を図る。
何かを食べて、美味しいと思ったことが一度もない。

「さよならすら言ってもらえないのは、もっと辛いのよ」

三角関係に悩む女性。
優しく面倒見が良く、困っている人を放っておけない性分。
幼馴染の青年にずっと片思いしている。
一方で、ある過去を引きずる彼のことを一番に案じるあまり、
自分の気持にも蓋をし続けている。

「即興で合わせろっ！　いまならできるっ！」

夢を追う大学生バンドマン。
友人とバンドを組むが、就職活動を期に解散した。
自分の腕に自信はあるが、プロの壁にぶつかり行き悩む。
現実との折り合いつけていく友人たちを見て、
我が身にも焦りを感じ始める。

「大事な知り合いなんだ。頼む」

元陸上選手のフリーター。
中距離走の有力選手だったが、ある理由から若くしてその道を退いた。
年の離れた姉とは実家を出てからあまり顔を合わせていないが、それなりに仲が良い。
ある日、有名選手に憧れて陸上を始めた甥の面倒を押し付けられる。

「子供が行くには、ずうっとずうっと遠い所よ」

幼い子供を抱えるシングルマザー。
仕事も育児も完璧にこなそうと自らを追い詰め、他方で心には重い不安を溜め込んでいた。
いつしか自分も息子に支えられていると気づき、その顔は次第に朗らかになる。

「君は神様を見たことがあるかい？」

私設孤児院を運営する牧師。
一方で小さな教会を営み、温厚で牧歌的な人柄は誰からも好かれる。
見ず知らずの誰かのために、自らの身を喜んで差し出す献身さの持ち主。

いずれ来る彼との出会いは、大きな岐路が提示されるかもしれない。

「今からこの男性を食べていただきます」

見知らぬ白い部屋に現れた謎の女性。
捕食アクションの遊び方を教えてくれる。